第21章 企み秘めたる結婚式
出した時に一度着ているから、大丈夫だとは思う。
だけど、最終確認が大事なのは理解出来たから着てみたドレスは…。
何度ファスナーを上げても、勝手に下りてしまう。
それこそ、苛々してくるくらいに何回もやったけど、結果は同じ。
「りら、どうした?」
秋紀が近寄ってきて、私がずっと触っているファスナーを見た。
「これ、壊れてね?」
「知ってる。安全ピンで留めるから平気。」
私でも流石に分かるような事を言われて、ただでさえ苛々してたのもあって、冷たく返す。
今回は挙式だけで時間も短い。
その間だけ、誤魔化せれば良いと思ったのだけど。
「あのな、今は髪下ろしてるから隠れると思ってるだろうが、明日はアップにすんだろ?
しかも、お前は親族なんだから前の方に座るよな?安全ピンなんかで留めたら、後ろのヤツに丸見えだぞ。」
正論が降ってきた。
その後ろの人間が、木兎さんだったら最悪だ。
絶対に指摘してくる。
それで、皆にバレたりするのは流石に嫌。
でも、今から新しいものを準備するなんて無理だ。
「あの人、きとりさんに連絡してみたらどうだ?ドレスなら専門分野だろ?」
その解決案を秋紀から出されて、切羽詰まっていた私は、すぐにそれに従った。