第21章 企み秘めたる結婚式
ホテルに荷物を置いて、外に出る。
先に島に来ていた赤葦さんとみつ、仕事上がりのきとりちゃんと合流して、適当な店に入った。
「赤葦達のこれからに、乾杯っ!」
相変わらずテンション高めに音頭を取った木兎さんに合わせて、皆のグラスがぶつかり合う音が響く。
開始された飲み会の中では、話に取り残されたりする事も無い。
私が自分から人の輪に入るのが苦手だと知っているから、誰かしら話を振ってくれる。
大切な人達と過ごす、大切な時間。
私にとっての家族は、ここに居る皆だと実感した。
だけど、楽しい時間は早く感じるもので。
あっという間に、飲み会は終了した。
きとりちゃんの家が式場に近いらしくて、赤葦さん達は向こうに泊まる事になっている。
ホテル組の私達と別れる際に、赤葦さんが何故か秋紀に目配せしていた。
気になって秋紀に目を向けたけど。
「どうかしたか?」
「赤葦さん、さっき秋紀に何か言おうとしてなかった?」
「たまたま目が合っただけだろ。なんかあんなら、言ってくんじゃね?アイツが、言いたい事留めるタイプかよ。」
どうやら、気の所為だったようだ。
納得を示した頷きを返し、皆と一緒にホテルへと戻った。