第21章 企み秘めたる結婚式
‐赤葦side‐
無事に全員の出席を確定させた飲み会を終え、家路を歩く。
隣に並ぶみつが、褒めて欲しそうにこちらを見ている。
取り敢えず的に頭を撫でてやると、満足そうに笑った。
見ていると、路上だとか関係無く何かをしてしまいそうで頭から手を離す。
「もうちょっと撫でてくれたっていいじゃん。」
「お前に構ってる暇は無いよ。あの人に連絡しないと。」
「あ、そっか。」
不満を漏らす顔さえも、人の理性を吹き飛ばす威力がある事をコイツは分かっていない。
やるべき事に意識を向けて、気を逸らした。
スマホを操作して、電話を掛ける。
「すみません、夜遅くに。今大丈夫ですか?」
すぐに通話になった相手に、一応の断りを入れて。
「先日、お話しした俺達の挙式の事なんですが…。どうしても出席して貰えませんか?
あの家で暮らした皆さんは、揃って出席して下さるそうですよ。俺にとって、家族みたいなものなんでご招待しました。」
口を挟まれないよう、一気に言葉を吐き出す。
実は、この人には出席を一度拒否されているから。
理由を付けたら、了解してくれないだろうか。
少し待っても、返事がない。
即答で断らないのは、迷ってくれてる証拠。
「俺は、その家族の輪の中にアナタも居て欲しい。縁で繋がった家族の一員なんですよ、アンタも。…駄目ですか?」
強引にやるのは、みつの専売特許じゃない。
畳み掛けるように言葉を続けると、溜め息の後に了解の返事が聞こえた。