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【HQ】繋がる縁の円

第5章 初デートは甘くない


流石の私でも、この水族館のメイン展示である、マグロ水槽には圧倒されていた。
捌き方なんか、思い付きもしていなかった。

それなのに、本日一番とも思える色気がない台詞が木葉さんの口から聞こえて。
思わず、耳を疑った。

職人を目指す身としては、市場には興味があるし、競りも、解体ショーも、見てみたいとは思うし。
その考え方に到ったのは、ここまでの私の言動の所為な訳で。

次のデートとして誘われたのなら、頷くしか出来ない。

「…お前、なんか機嫌悪くね?」
「いえ。」
「市場は、騒がしいから嫌いとか?」
「違います。」

ただ、驚いていただけだ。
少しでも、恋人らしく振る舞おうとしていた木葉さんの方から、色気皆無のお誘いをされたから。

ご機嫌伺いの言葉を否定。
それを繰り返す、微妙な空気のまま水槽から離れて、併設されたレストランに向かう事になった。
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