第20章 やっぱり派手なのがお好き
派手だけど、言葉としてはシンプルで、真っ直ぐで。
とても木兎さんらしいプロポーズは、見事に成功。
だからって、らしいで済ませてはいけない問題がある。
泣かせるレベルの怖い思いをさせたり、怪我をするかも知れない事をするのは、どう考えても、やりすぎである。
マットを持参していた月島くんと、りんさん。
それを窓の下に設置した黒尾さんと赤葦さん。
突き落としただろう秋紀。
受け止めた木兎さん。
知らなかったら、出来ない事だ。
赤葦さんが知ってたなら、当然みつも知っていた筈だ。
誰一人、止める人間が居なかった事が不思議なくらいだ。
これだけは、怒っていい。
そう確信して笑顔を作ろうとしたけど。
「木兎ーっ!そこ、どけ!」
上から秋紀の声が聞こえて。
木兎さん達が退いた途端に、秋紀も飛び降りてきた。
そして、すぐに私の元に駆けてくる。
いきなりすぎて、避ける事も出来ずに抱き締められた。
何が起こってるか分からない。
分かるのは…。
「秋紀、泣いてる。」
これくらいだった。
「かおるさん、怪我させんじゃねぇかって、めっちゃ怖かった…。」
泣く程の事なら、止めれば良かったのだ。
同情の余地はない。
でも、さっきアルコールを飲んでたのは分かっている。
私が責めたら、もっと泣く。
怒るのは止める事にして、そっと頭を撫でた。