第20章 やっぱり派手なのがお好き
‐かおるside‐
光の輪の中に居る光太郎が、私に向けて小さな箱を差し出している。
驚き過ぎて、声が出てこなかった。
「木兎が、ド派手な事をやらかすのは、俺達からすりゃ、いつもの事。その面子の中なら、目立って恥ずかしいとか今更だろ?
ない頭、フル回転してアイツがアンタの為に考えたんだぞ。ちゃんと、答えてやって。」
背中を押す言葉が聞こえて、返事をしようと窓から身を乗り出す。
「嬉しいよ、光太郎っ!結婚しようっ!」
下手にこれからも宜しく、なんて答え方したら理解力が欠けている光太郎なら、それオッケーなのか?とか確認してきそうだった。
だから、自分から敢えて言うには恥ずかしい結婚って言葉を使う。
お陰で、しっかりと伝わってくれたみたいで、火花が落ち着き始めた花火の輪から光太郎が駆け出してきた。
私も、すぐにでも駆け寄りたくて、窓から降りようとしたのだけど。
「ホンット、すみません!」
「…えっ!」
何故か、木葉の謝る声が聞こえてきて、今度は物理的に背中を押された。
上半身はほぼ窓から出ていた私。
当たり前のように、外に体が飛び出して落ちていく。
「きゃーっ!」
腹の底から悲鳴を上げるので精一杯だった。