第20章 やっぱり派手なのがお好き
秋紀に言われた通り、片付けをしようと思ったのだけど。
2人が2階に行った途端に、皆が揃って庭の方に出ていった。
こういう時の別行動を許された試しがない。
何をするかは知らなかったけど、一緒になって庭に出た。
そこには、大きな円を書くように花火が置いてある。
地面に置いて、上に噴き出してくる形のものだ。
危ない事をする予感しかしない。
それは見事に当たって、木兎さんが円の中に入っていく。
でも、止めなかった。
木兎さんの手の中に、小さな箱が握られているのに気付いたから。
派手好きの木兎さんがやりそうな事である。
せめて怪我をしない事を祈って、成り行きを見守る。
黒尾さんと赤葦さんによって点火された花火は、数秒後に噴き上がり、木兎さんを火花で包んだ。
「かおるちゃーんっ!」
大きな声が、2階に向けられる。
それで呼ぶのなら、点火が早すぎたんじゃないかと思ったけど。
上に目を向けると、かおるさんはすでに顔を出していた。
「この輪っかより、キレイな輪っか、かおるちゃんにやるから!
俺と、結婚してくれーっ!」
木兎さんらしい、ストレートな声が響いている。
人のプロポーズを目の当たりにするのは初めての事で。
多分、緊張なんかに縁がない当の本人、木兎さんより緊張しながらかおるさんの答えを待った。