第20章 やっぱり派手なのがお好き
自分が見た光景が信じられない。
だって、あんなにもかおるさんと結婚したがっていた木兎さんが、今の、分かりやすいくらいの逆プロポーズを拒否するなんて思えない。
だけど、人目があるからか泣いてはいないけど、俯いたかおるさんの状況からして、今のは紛れもなく事実で。
そんな状態なのに、しっかり手を繋いでいるのはおかしい気がして。
「木兎さん。」
「な、なんだよ。りらちゃん、怒ってね?」
「怒ってます。」
作り上げた笑顔を向けて、2人を引き離すように繋がれた部分を叩いたけど、手を離す事は無く。
「かおるちゃん、目立つのやだって言ってたじゃんか。助けてやったのに、なんで俺が怒られてんだよ?」
自分を正当化してきた。
「かおるさん、喜んでいるように見えますか。」
「そりゃ、喜んでんだろ!なんたって、嫌な事をさせられた時に助けたのは、ヒーローみてぇにカッコいい俺!だぜ?」
現在の状況に気付かせようとしても無駄で、かおるさんの方を見ようともしない。
ただ、今の言葉で分かった事があった。
かおるさんが無理強いされたと思って苛ついて、何も聞かないで反射で答えただけだ、この人。
そこには、かおるさんも気付いたようで。
「…助けてくれたのは嬉しいけど、こんな事をしたらもっと目立つじゃない。
あそこは、大人の対応として受け取ってくれなきゃダメよ。」
諭すように木兎さんに話し掛けているから安心した。