第19章 たまには女子だけで
黒尾さんは、私が頑固で決めた事を曲げないと知っている。
それなのに、私が秋紀と暮らす為にこの家を空っぽにするなんて、有り得ると思ってるんだろうか。
それに、もし私が家を出たくなったとしても、何かのきっかけになるような事だとは思えない。
分かるように説明して貰いたくても、絶対に誤魔化してくるだろう。
胡散臭い笑顔を浮かべているから、本心を明かす気はなさそうだ。
「…じゃ、俺も帰るわ。オヤスミ。」
しかも、私が質問し始める前に、話をするだけして帰ってしまった。
「秋紀。」
「ん?」
「黒尾さん、何企んでるの。」
「知らね。分かってんのは、黒尾はきとりさんを待ちたいお前を否定しない、俺等の味方って事ぐらいだな。
ほら、赤葦とかみつは、人に結婚のタイミング委ねんなって、否定してきたろ?」
何か知ってるだろうと思って秋紀に問い掛けても、答えにはならず。
「…俺等も、そろそろ寝ねぇ?部屋、行こ?」
続けても、本人が居なくては答えが出ない不毛な話を終わらせて部屋に戻る。
一緒に布団の中に潜り込むと疲れもあったのか、お休みなさいの声掛けすら出来ず、眠りの世界へと旅立った。