第19章 たまには女子だけで
‐木葉side‐
ついさっき、りらがリビングに戻ってくる前の話。
黒尾から、共犯になんねぇか、って持ち掛けられた。
勿論、犯罪に手ぇ出す訳じゃねぇ。
お互いWINWINの、相互補助みたいなやつ。
俺だって、流石にジジィになるまでカレカノで居たい訳じゃない。
りらの意思は尊重したくても、ある程度きとりさんを待ったら、帰って来なくても、諦めて俺のトコに来て欲しい。
この本音にも、黒尾は気付きやがって。
提案された、1つの策。
りらも俺と生活したいと考えてんなら、本当に引っ掛かってんのはきとりさんの事だけ。
それなら、黒尾が‘おかえり’を言う役目を引き受けて、この家で彼女を待つ。
本物の家族として。
ただ、これを話した途端にりらが俺と結婚するとか言い出したら、なんつーか、微妙な気分になる訳よ。
黒尾が彼女にプロポーズする為のきっかけとして、妥協するって感じだし。
結局、俺より黒尾の言葉で決めた事になるからな。
だから、今はりらに何をしたいか、言わない。
いつか、目的よりも俺に比重が傾いたら、少しは迷ってくれるだろうから。
迷うって事は、本心は俺を選びたくなっている筈だから。
そん時に、迷いを晴らすのは黒尾ってのも、これまた微妙なトコなんだが。
この頑固なりらを動かすには、俺一人じゃマジで無理。
だから、黒尾の口の上手さと、りらからの信用に賭けてみる事にした。