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【HQ】繋がる縁の円

第5章 初デートは甘くない


それからすぐに、目的の駅に着いて下車する。
駅から出て、本当にすぐ目の前の水族館。
入場券は、コンビニで先に買っていたらしく、お金すら払わせてくれなかった。

中に入ると、薄暗い空間に、真っ青な水槽。
グレーとか、シルバーとかの、よくスーパーとかに並んでいるような魚が泳いでいる。
見た目が綺麗な熱帯系の魚がいないのも、この水族館の特徴だ。
いても、タイとかの黒みがかった赤が一番派手なんじゃなかろうか。

それが逆に良い。
私には派手な魚を見るより、こっちの方が落ち着く。

近海に棲んでそうな、食用にもされるような魚ばかりを、ここまで食い入るように見る女は中々いないと思う。
その上、泳いでいる姿に感動しているクセに、捌き方を思い出したりしている女は、多分私くらいだ。

「お。アジの群れ。」
「あれだけいたら、刺身からタタキ、ナメロウ、フライまで作れますね。」
「骨も揚げたら美味いよな、って。オイ。」
「骨の唐揚げは、いいおつまみですね。」

普通に、水槽の中を見ている感想が聞こえた筈なのに、そこから料理を想像して会話をする。
ノリツッコミをされても返したのは、また色気より食い気になっていた。
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