第19章 たまには女子だけで
‐木葉side‐
空気が凍りついている。
俺を含めた全員の視線が、月島に向かっているが、言葉は何一つない。
あの木兎ですら、声を掛けちゃいけない状況なのを察してやがる。
パソコンからも音は無く、ただただ静かに過ぎていく時間を壊すように月島が笑った。
「やだなぁ、皆さん。そんな怖い顔してどうしたんです?僕、顔だけって言われるの慣れてるんでー。」
それは、分かりやすい作り笑いで。
こういう時、なんてフォローしてやりゃいいのか、分かんねぇぞ。
「月島、ちゃんと聞いてた?りんさん、顔だけじゃないって言ってたと思うけど?」
「でも、どうして僕なのか分からないんですよね?それって、本当は顔だけって事デショ。」
赤葦が何とか宥めようとしても、収まる気配は無く。
助けを求めるように、パソコンを見た。
向こうで話を進めてくんねぇと、こっちで取り返しつかなくなっちまう。
『…りんさん。』
やっと聞こえたのはりらの声。
ここで、これはマズイ気しかしねぇ。
アイツ、空気読んでるようで、ぶっ飛んだ発言して、場を凍らせたりする女だ。
こういう時の天然は恐ろしいんだよ、マジで。
『貴女も、月島になる予定ですよね。まだ、月島くんなんですか。』
ほら、やっぱり。
月島の求めた答えが出る前に、違う方向に話を飛ばしやがった。
「ぶっ!くくっ!流石はりらだな!ここでの突っ込みどころが、ソコかよ!」
ただ、それで黒尾が笑い出したお陰で、少しは空気が和らいだ。