第18章 only one
私と月島くんのやり取りを、りんさんが眉間に皺を寄せて見ている。
ここから、どう話を逸らそうか。
そもそも、私の会話能力で逸らす事が出来るのか。
「…そういえば、りんさん。わざわざ、報告する為だけにりらを呼んだの?
それだったら、また飲み会でもやった方が良かったんじゃない?」
今の状況が望ましくないのは月島くんも同じで、他の話を持ち出してくれた。
「…あぁ、そうだった。別に結婚報告する為に呼んだ訳じゃないのよね。」
思い出したように声を出したりんさんの眉間から、皺が消える。
そして、私の手を握ってきた。
「りらに、料理を教えて欲しいの。」
「りんさん、料理出来るのでは?」
「アンタの腕には敵わないし…。それに、月島くんの好きな料理知らないもの。」
懇願するような目で見てくるりんさんの手が、若干震えている。
人の為を想って作る料理。
それになら、協力してあげたいと思って了承した。
だけど、後から思い出した大問題。
私は、みつにも料理を教えなきゃならないのだ。
2人別々に教えていくのは効率が悪い。
でも、みつとりんさんは相性が悪いから、一緒には無理だろうな。
妙な悩みを抱えながら、この日は話をしただけで家に帰った。