第18章 only one
‐りんside‐
状況が、上手く飲み込めない。
だから、了解も、拒絶も出来ずに黙り込んだ。
「…指輪でも買いに行けば、理解して貰える?」
続けられた話は、同棲どころか、プロポーズにも聞こえる。
やっぱり私は、月島くんを信じる事が出来なくて首を振った。
「1番になれてないのに、そんなもの貰っても、嬉しくない。」
どうして、こんなにも1番に拘るのか。
1番好きでも無いけど、嫌いじゃないからって、選ばれる妥協点になりたくないからだ。
若い内に片親を亡くして、愛情不足だった面もあると思う。
ただ、1番に私を想ってくれる人が欲しい。
「1番って、何を基準に言ってるの?それによって、最優先になるものが変わるの、当たり前じゃない?」
どこか、怒ったような強い声を聞いて、気まずくて俯いた。
「気になるって基準なら、それはりらが1番かもね。色んな意味で目が離せないから。」
追い討ちばかり掛けられているようで、体が縮まる。
頬に手を当てられて、怖くてビクりと肩が跳ねた。
「でも、その1番と、ずっと一緒に居たい人ってイコールじゃないデショ。」
頬を触る手に力が籠る。
顔を見るように誘導されて、目が合った。
「僕が、一生を過ごしたいと思ってる、ただ一人の人は、貴女なんだけど?」
瞳から、心の奥底まで覗くような眼は、嘘を吐いているようには見えない。
直接的な、結婚という言葉は使われていないけど、これはプロポーズなのだと確信した。