第18章 only one
‐りんside‐
この晩は、キスだけで終わり。
残念だとか、思ったりしたけど、私は怪我人な訳で。
激しい運動は控えるように言われていたから、ヨシとする。
翌日は、宣言通り、朝ご飯を買ってきてくれて。
昼も、外回りのついでだろうけどやってくれて。
更には、夜もしっかり食事を持ってきて。
また、私の家に泊まった。
その次の日からは、私も会社に行ったけど、夜は何故か私の家に帰ってきて、泊まっていく。
それを繰り返している内に時間は流れ、抜糸も済んで、頭の包帯は外れ…。
少しの傷は残ってしまったけど、ほぼ通常に戻った。
なのに、月島くんは、自分の家じゃなくて、私の家に帰ってくる。
「いい加減、自宅に帰ったら?鉄朗も心配するんじゃない?」
このまま、なし崩し的に同棲する気なんか無くて、追い出そうと声を掛けた。
すでに、この家に慣れて、寛いでいた月島くんが怪訝そうに目を向けてくる。
「僕のコト、バカにしてるの?行き先分かってるのに、心配される程、子どもじゃないカラ。」
「そういう意味じゃなくて。月島くんの居場所は、ココじゃないでしょ?」
「じゃあ、ちゃんと転居でもしてきたらいいの?」
不愉快そうに返された言葉には負けず、言い返したのに。
解決策として出されたのは、完全に一緒に暮らす事を意味していた。