第18章 only one
‐りんside‐
水の口移し…キスの後も、月島くんは意外なくらい色々としてくれている。
傷の消毒しなきゃいけないって話したら…。
包帯を外すのも手伝ってくれたし、消毒までやってくれた。
「うわ…。キモチワルイ。」
とか、言われたけど。
確かに、人の怪我なんてグロいだけだろうから、やってくれた事にだけは感謝しておく。
「今日は、ありがと。なんか、迷惑掛けっぱなしで、ごめんね。」
「どういたしまして。…そろそろ寝る?」
「あぁ、うん。月島くん、泊まるならベッド使っていいよ。私は明日休むから、少しくらい寝不足になっても平気だし。」
「りんさんのベッドだよね?なんで、僕一人で寝るの。」
お礼から、繋がっていく会話。
その終着点は、私の精神衛生に宜しくないもので。
流石に拒否したけど、受け入れては貰えず、同じベッドに入る事になってしまった。
背中を向けているけど、そんなに広くないベッドの中では、体が触れ合ってしまう。
心臓が五月蝿くて、眠れる気がしない。
少しでも離れようと、身体をモゾモゾと動かすと、すぐに気付かれて、顔を覗かれた。
「痛くて寝れない?」
「いや、そういう訳じゃ…。」
痛いとしても、それは傷じゃなくて、心臓の方だ。
心臓には、痛覚ないらしいけど。
心の中で突っ込みをして、どうにか気を逸らそうと試みたけど。
「なぁんだ。痛いなら、また痛み止めあげようと思ったんだけど?」
月島くんの唇が笑みに歪んで、それに見惚れて、更に心臓が早鐘を打つ。
今なら、応えてくれそうな気がして。
期待を込めて目を閉じると、唇に柔らかいものが触れた。