第18章 only one
‐りんside‐
鉄朗に何を言われたかは知らないし、仕方無くかも知れないけど、わざわざ来てくれたのは事実。
追い返す事は出来なくて、一緒に食事を摂った。
…ん、だけど。
会話は全くない。
何しに来たのよ、ほんと。
これなら、ご飯だけ置いて帰ってくれたら良かったのに。
月島くんと居ると、私が落ち着かない。
「…明日。」
食事を終えて、片付けをしようと立ち上がった所で、声が掛かる。
言葉の続きを促すように、視線を顔に向けた。
「休むんだよね?」
すでに告げている事を確認されて、頷きだけで答える。
「お昼、外回りついでに、何か持ってくるから。」
「いいよ、そんな事しないで。大体、朝は自分で何とかするんだし。」
気を遣ってくれたのは分かるのに、彼に頼るのが怖くて、依存したくなくて、これ以上は好きになりたくなくて。
上辺の優しさを首を振って拒否をしたのに…。
「今日は泊まるよ。だから、朝も僕が買ってくるつもりなんだけど?」
勝手に明日の朝の事まで決められていた。
「買い物の度に、一々、りんさんにドア開けて貰うの待ちたくないから、合鍵渡してくれるよね?」
しかも、やっぱり拒否権が無さそうな要求までしてくる。
ニコニコと愛想の良く見える笑顔は、強制力があるように見えて、合鍵をテーブルの上に出した。