第18章 only one
‐りんside‐
こういう時、頼っていい知り合いが居ない。
りら達なら、私を仲間認識してくれているから、話をしたらやってくれそうだけど。
女性陣、特に、顔面の美しさだけは定評のあるりらには、傷の付いたこの顔を見られたくなかった。
だからって、男性陣に頼むのは、彼女を差し置いて何やってるんだ、な感じだし。
それなら、現在は彼女が居ない鉄朗なら、とか思ってしまった。
アイツは、人の裏を読むタイプだから、月島くんじゃなくて、鉄朗に頼んだ意図を汲んでやってくれると思っていた。
これが、間違いの元。
私達が喧嘩したとでも思い込んだのか、元来のお節介を発動させてくれたようで…。
警戒もせず、インターフォンの音に反応して開けた扉の先。
月島くんが立っていた。
頭、痛い。
傷が痛むんじゃなくて、普通に頭痛がする。
「晩ごはん持ってきたから。中入っても良いよね?」
何も言えないでいると、拒否を許さない言葉が聞こえた。
それでも返事はしなかったのに、私の横を抜けて部屋に上がり、我が物顔でリビングの方へ行ってしまう。
溜め息を一つ吐いて、その後を追った。