• テキストサイズ

【HQ】繋がる縁の円

第18章 only one


‐りんside‐

どうせ、砕かれてしまうだけなのに、期待しちゃうから、傍に居たくない。
後ろからついてきているのは分かったけど、振り返らずにタクシー乗り場に向かった。

「付き添ってくれて、有難う。こんな状態だから、2、3日はお休み貰うかも。迷惑掛けたら、ごめんなさいね。」

別れ際まで無視は、流石に大人げないから、同僚としての言葉を投げ掛ける。

「ホント、休まれると迷惑なんだけど。…僕、貴女が居ないと落ち着かないカラ。」

返ってきたのは、意外な言葉。

これが、彼の本心なのか。
上辺だけの優しさなのか。

判別は付かなかったけど、嬉しかった。

「なるべく早く復帰するわ。生活掛かってるからね。」

最後は、冗談混じりに笑って喋る事が出来た気がする。

タクシーの扉が閉まって、風景が動き出した。

外を眺めようと目を向けると、窓に映る自分。
頭に、包帯。
傷が残るかも知れないって言われている。
浮上していた気持ちは、あっさりと転げ落ちた。

月島くんは、上辺だけ取り繕うのが上手い人だ。
さっきのは、きっと本心じゃない。
だって、顔に傷がある女なんか、隣に置きたくなんかない。

マイナスな思考が頭を占めていく。
1番になれないと分かっているのも重なって、酷く落ち込んだ。
/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp