• テキストサイズ

【HQ】繋がる縁の円

第5章 初デートは甘くない


翌日、待ち合わせの時間に、待ち合わせ場所のうちの最寄り駅に向かう。
そこに近付いた頃に、たまたま擦れ違った女の子のグループが、何かを気にしたように駅の方を何回か振り返っていた。

「さっきの人、背ぇ高くない?スタイル良くて、モデルみたい。」
「イケメンだよねー。誰か待ってるのかな?声、掛けてみる?」

聞こえてきた会話は、まぁよくありそうな逆ナンパするかの相談のようだ。
私には関係ないと思って、急いで木葉さんの元へ。

「熊野、おはよ。」

私を見るなり、満面の笑みで両腕を広げた木葉さん。
完全に、おいで、の体勢である。

「お早うございます。」

こんな、公衆の面前でハグをする気にはならず、抱き締められない距離を空けて立ち止まって、挨拶を返した。

「ホント、お前は堅いな。もうちょい、気ィ抜いていいのにー。」

残念そうに腕は下ろしたものの、私に触れるのは諦めてなかったらしく、頭を撫でられる。
拒否したいけど、私が嫌がると、思った以上に傷付けてしまう時があるから、やらせておいた。

「じゃ、そろそろ行こっか。」

髪を荒らすだけ荒らして、満足したように頭から離れた手は、そのまま私の手を掴む。
指先を絡めてくる手に、嬉しくなりながら握り返した。
/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp