第5章 初デートは甘くない
木葉さんとお付き合いを始めて、1ヶ月程。
かおるさんのお店の手伝いがある日は向こうの家で、ない日はこっちに来てくれるからほぼ毎日会っている。
それでも飽きないのは、離れていた時間が長いからなんだろうか。
時間は戻らないから、その分を埋めたい。
傍にいるのが当たり前の関係でいたい。
これからは、他の人達よりも長く、一緒にいたい。
だから、私の休みは木葉さんに出来る限り合わせた。
そんな事をしたら、重いだろうと思ったけど。
1日一緒にいられる日は、嬉しそうにしているから今の所は大丈夫そうだ。
そうやって、半同棲に近い生活を送っていた、ある日。
私の手伝いが無くて、翌日は2人とも休みだから、木葉さんが泊まりに来るものだと思っていた。
だけど、食事を用意する時間の頃になって、電話がきて。
『明日、朝から待ち合わせして、外デートしねぇ?』
いきなり、こう言われた。
じゃあ、今日は来ないって事か。
食事の準備をする前だったから良かったものの、作ってしまっていたらどうする気だったんだ。
本当は、会えないのが淋しいクセに違う事を怒る理由にしようとする。
相当、可愛いげがない女の自覚はある。
「…いいですよ。」
それでも、声だけでは元から単調な訳で。
わざと、言葉を遅らせてみたけど機嫌が悪いのに気付かれる事はなく。
待ち合わせの時間だとか、場所だとかを一方的に話されて電話は終了した。