第18章 only one
‐りんside‐
2階の一番手前の部屋の前に辿り着き、軽くノックする。
無視をされたら、タクシーでも使って帰ろうと思っていたけど。
「はい。」
返事はちゃんとあったから、扉を開けて中に入った。
月島くんは、ベッドの中で、顔をこちらに向けている。
「こっち、来れば?」
「一緒に寝て良いの?」
「りらが、布団用意してくれてれば良かったんだけど、無いデショ。
床に女性寝かせたら、後で五月蝿いだろうし。」
結局、彼の中心にはりら。
それを理解するには、充分過ぎる言葉。
りらに何か言われるのが嫌だから、私を傍に置いているだけ。
別れたなんて話したら、りらにどう思われるか分かったもんじゃないからだ。
さっき、月島くんが赤葦に掛けた言葉。
りらの親戚になるのは、メリットがあると言っているように聞こえた。
それは、月島くん自身もりらの傍に居る事をメリットとして感じているからだと思った。
そのりらと全く関係がない上、同じ会社に勤めているとか、デメリットしか無い私と付き合っているのは…。
少しでも、私を想ってくれていると思いたかったのに、それは出来なくなってしまった。
私は、どうやっても1番にはなれない女なんだな、って実感して。
仕方無く傍に置いておかれるくらいなら、離れていこうと決めた。