第18章 only one
りんさんだけを、この場に残して、どうする気なんだろうか。
その意図に気付いていたのは赤葦さんで。
「かおるさんは、りらが手伝っている店の人で。
みつは、りらの妹。
今は、黒尾さんと付き合っていないけど、きとりさんは、りらの親戚だね。」
今更な、この輪の中にある関係性を並べている。
「私だけ、りらとは無関係って言いたいの?」
「えぇ、そうです。それでも、月島は貴女を傍に置いている。」
わざとらしく口の端を上げて笑う赤葦さんは、何かを企んでいる気がしたけど、私には理解が出来ない。
でも、りんさんには、何か伝わったようで。
「りら、月島くんの部屋ってどこ?」
「階段上がって、一番手前です。」
「そう。私も泊まらせて貰うわね?」
「どうぞ、ごゆっくり。」
りんさんも、リビングから去っていった。
「赤葦さん。貴方は、先に知っていた私が基準かも知れませんが…。」
「木兎さんや黒尾さん、月島は、先に知り合ったきとりさんを基準にして語るのが正しいって言いたい?」
会話が出来る状態なのは、私と赤葦さんだけ。
失言しても分かってくれる人相手だから、遠慮無く疑問をぶつける。
赤葦さんは、りんさんは仲間外れにしたいから私を基準にして、さっきの事を言っていて。
それでも、月島くんが付き合っている意味に気付かせたかったようだった。