第18章 only one
目的だった報告の時以外は、普段の飲み会と変わらず。
日付が変わる頃には、木兎さんが酔い潰れ、かおるさんと部屋に入り。
リビングで寝てしまったみつを赤葦さんが介抱して輪から外れ。
黒尾さんは、翌日の仕事が早いからと帰ってしまった。
残っているのは、半分寝ている秋紀と、月島くんとりんさんだけ。
言って良い事と、悪い事の判別がつかないから、取り敢えずは無言で飲み続ける。
「赤葦さんがみつと結婚するのは、りらの義弟になれるからだったりします?」
静かな空間を壊したのは、嫌味っぽくも聞こえる月島くんの声だった。
少し離れた場所にいる赤葦さんに顔を向けている。
「それだけで人生決められると思ってる?」
「赤葦さんなら、やりそうだなって思ってマス。」
珍しい事が目の前で起きていて、口を挟めなかった。
月島くんは、度々嫌味を言う人だったけど。
赤葦さんには一目置いているというか。
仕掛けたって敵わないと知っているからか。
こんなに、分かりやすく喧嘩を売っている所なんか、見た事が無かったから。
「俺が、みつを愛しているからだよ。それが、たまたまりらの妹だっただけ。
りらの妹だから愛してる訳じゃない。」
赤葦さんの、冷静で、意思の籠った言葉に、月島くんが黙り込んでいる。
「…りら、僕の部屋、掃除は?」
「してある。」
「じゃ、そろそろ寝るから。オヤスミナサーイ。」
やっと喋ったと思えば、言葉は私宛てのもので。
逃げるように、さっさとリビングから去っていった。