第18章 only one
周りから、みつ達に対しての祝福の声やら、ふざけ混じりの口笛の音が聞こえる。
ただ、それをやっているのは男性陣ばかりで。
かおるさんとりんさんは、拍手をしているだけで済ませていた。
あの月島くんですら、お幸せに、と一声あったくらいなのに、だ。
私に分かっているのは、結婚に対しては微妙な状況である2人と、そのパートナーという表面上の情報だけ。
そんな中で、一番年下のみつが、早々に結婚を決めた事への焦りなんだろうか。
人それぞれ、タイミングがあるものなのに、お祝いの言葉すら掛けられないものなんだろうか。
2人の気持ちは、私には理解が出来なくて。
だからって聞いていい事じゃないのくらいは分かって。
祝えませんか、と喉まで出かかった言葉を、アルコールと共に飲み込んだ。
やがて、皆が酔っ払い始めると…。
「光太郎は、いつプロポーズのやり直ししてくれるんだろうね?」
「もうすぐだ!期待して待ってろよ!?」
「あんまり派手なのは私が恥ずかしいからやめてよ?」
「派手でナンボだろー?」
かおるさんの方は、気軽にこの話題を口に出して、木兎さんと話をしていた。
こっちは、特に気にしないでも大丈夫そうだ。
だけど、その事に触れないどころか、隣同士に座っているのに会話すらしていない、月島くんとりんさんの事が気になって仕方が無かった。