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【HQ】繋がる縁の円

第4章 お泊まり


期待して、いた。
だけど、木葉さんにそのつもりが無かったようで。
私を抱き締めた状態でベッドに倒れ込み、早々に掛け布団を捲って、中に潜り込んだ。

脱がせたいから、この部屋着を着せた訳じゃないようだ。

隣で横になっている人は、眠そうに何度も瞬きをしている。

「あの。」
「んー?」

声を掛けても、こんな調子で。
ただ、抱き締める力が少し強くなったりする程度。

ヤりたい訳じゃない。
だけど、私には見た目と身体にしか価値がないから。

何もシてくれないのが、怖い。

「…どーした?」

こちらから何かした方が良いのか、と布団の中で動いていると声が聞こえる。

「シないんですか。」

言ってしまった方が早いと思って、口に出した。

「ヤりたい?」
「どちらでも。」
「じゃ、今日はナシ。お前と一緒に寝れるだけで、いーわ。」

更に腕の力が強まって、完全に密着する体。

「おやすみ。」

その言葉の最後に、軽く唇を重ねられて。
わざとらしく、ちゅ、っと音を立てて離れた。

「…お休みなさい。」

私が挨拶を返すと、悪戯っぽく笑う顔。
それが、すぐに緩んでいって寝息を立てている。

その顔を見ていたら、何もシてくれない恐怖心なんかなくなっていった。

木葉さんが、抱き締めてくれているのは、私の体だけじゃない。
心も、全て、抱き締めてくれている。

安心した気持ちで、眠りに落ちていった。
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