第18章 only one
飲み会の当日、料理を教わる名目で、みつは早々に家に来たけど。
逆の才能を持った彼女に掛かれば、半分以上は私が作った料理も、仕上げで食べてはいけない物質になる。
食材も勿体無いから、運ぶだけにしてくれと頼み込んで、キッチンから追い出した。
アレに料理を教えるのは、もう不可能な域だと呆れながら、作業を進める。
段々と約束の時間が近付き、料理が終わりきらないと焦り始めた頃、インターフォンの音が鳴った。
対応はみつに任せておいたのに、出迎えから戻るなり私の元にやってくる。
「姉ちゃん、これ、かおるさんから…。」
大きな発泡スチロールの箱を差し出されたのが分かり、目を向けた。
その中には、真鯛。
しかも、サイズ大きめ。
何の為の飲み会が気付いていて、お祝いで持ってきたんだろうけど、誰が捌くんだ。
私、サバくらいのサイズまでしか捌けないぞ。
これだと、骨が堅くて、包丁が通るかも怪しいじゃないか。
取り敢えず、後で考える事にして、端に置いておいた。
それからも色々とやっている内に、皆がリビングの方に揃ってしまう。
私が行くまで待たせるのは申し訳ないから、先に飲みを始めて貰った。