第1章 再会の裏話
木兎さんの説明によると…。
このお店は、木兎さんの勤め先である四ッ石電機の実業団がよく利用している店らしい。
女将さんと、その娘さんで切り盛りしていたそうで。
ただ、女将さんの方が病気で入院してしまって、娘さん1人では続けられないと店を畳もうとしているようだ。
この店が気に入っている木兎さんは、何とか力になれないかを考えて。
一緒に店をやれる、料理の出来る、私を呼んだという状態らしい。
因みに、カウンターの端で落ちてる女性が、その娘さんだ。
説明を聞いて、呼ばれた理由は納得出来た。
でも、こんなのは余計なお世話だろう。
入院には、お金が掛かる。
人を雇うのも、お金が掛かる。
他人の木兎さんが、勝手に決めていい話ではない。
「木兎さん、入院ってお金が掛かるんですよ。失礼ですが、この規模のお店で、入院費、更に人を雇う人件費が稼げるとは思えません。」
「…だったら、手伝い!たまに手伝いに来て、べんきょーさせて貰えよ!」
思い付きで強引に話を進めようとする木兎さん。
あまりに真剣で、店を気に入っている以外の理由がありそうだと思った。