第17章 彼氏トレード
‐みつside‐
京治の様子が変だ。
いつもなら、私を責める時は生き生きとした顔をしているのに、今は何故か泣き出しそうに見える。
その上、握り締められた手は震えていて、嫌な事に耐えているような感じだ。
アキノリくんが余計な事を言ったから、あんな手段で私を縛ってきた事を後悔してるんだろうか。
私自身が、それを寧ろ望んで受け入れてきたのに、その部分から疑っているんだろうか。
「…京治、私は貶されて縛られている今の状況で満足してるよ。アキノリくんは、私達がお互いに歪んでるの、分かってないだけ。」
京治が何を考えているか読めないから、真実のみを口にする。
私にとって、赤葦京治は、何をしても正しい人間であるのは、間違いないのだ。
相変わらず、私は彼に心酔しきっていて、判断は全て委ねて構わない。
「…それに、京治はちゃんと選んでる。私を自分だけの元に留めたいなら、首輪でも着けて監禁してしまえば良いのにしないし。」
でも、別れを選ばれるのは避けたくて。
「一番、手っ取り早い手段だけは使ってないよ。」
最強だけど、最低な手段を提案しようと顔を近付ける。
「…子ども、先に作っちゃおうか?」
耳元で囁いた、この言葉にノるか否か。
次の京治の行動が、私達の未来を決める。
「…お前、自分が何言ってるか分かってる?」
そして、彼の答えは、拒否だった。