第17章 彼氏トレード
‐みつside‐
「赤葦と、ちゃんと話せよ。あんな縛り方されんの、嫌だったんだろ?」
ちょっと的外れな事を言われたけど、私を護ろうとしてくれたんだろう状況で否定する気は起こらず。
取り合えず2人で話をしようと自室まで来た。
京治が、私を貶して縛りつけているのは事実。
だけど、それで思い詰めて涙が出るまで溜め込んだ訳じゃない。
寧ろ、貶されている内は、京治が私を手放したくない証拠だから、それを嫌がっている訳じゃない。
ただ、もしも京治に、他の執着対象が出来たら私は捨てられる。
私だけに執着し続けて欲しいから、貶す理由を1つずつ奪うんだ。
そうすれば、他に悪い部分を探す事に尽力するだろう。
そうして、前に姉ちゃんにしていたように、私の事を調べ尽くして、私だけにハマり続ければいい。
私には京治しか居ないってのも、紛れもない事実だから、その為の努力は惜しまない。
だからって必死になりすぎて、上手く出来ない事に苛立って。
気持ちに限界がきて、八つ当たり的に涙が出てしまっただけ。
こんな裏を抱えて、料理を覚えようとしていたなんて話す訳にはいかない。
何を話そうか考えている内に、後ろで扉の閉まる音がした。
ご丁寧に、鍵まで掛けられたのも分かる。
逃げ場の無い状態で、どうすれば正解なのか分からなくなった。