第17章 彼氏トレード
自分の実家で、妹とその彼氏相手に修羅場。
そんなの、やりたい訳は無いんだけど、何を言えば良いか分からない。
「言い訳するようなコト、してねぇよ?」
でも、1人だけ冷静な人が居て。
「だって、コイツ泣かせたの、俺じゃなくて赤葦だし。」
冷たい空気の根元の神経を逆撫でするような事を言葉にしていた。
「俺、たった今ここに来たばかりですが?どうやって、泣かせたって言うんですか?」
「お前が、普段からコイツの悪いトコばっか並べて、その負い目につけこんでるからだろ。
こんな思い詰めるまで、赤葦しかいないって思い込ませて、離れられなくして満足か?」
言い返されても秋紀は怯まない。
怒りすら感じる強い声音で更に言葉を返していた。
それで、赤葦さんが声を詰まらせる。
「…アンタには、分からないですよ。手段なんか選んでられない俺の気持ちなんて。」
暫くの間があって、勢いを無くした、ただ呟くような声が聞こえた。
秋紀が、みつの耳元に口を近付けて何かを喋っている。
同じく2人を眺めていた赤葦さんの手が強く握られていて、殴り掛かるんじゃないかと心配したけど。
「京治、お話しよっか。」
何かが起こる前に、みつが赤葦さんを連れていった。