第17章 彼氏トレード
さっきから、黒尾さんだとか、木兎さんだとか。
一応はデート中なのに、他の男性がすぐに思い浮かぶ。
秋紀と居るときは、こんな事にならないのに。
あ、また。
別の男性を思い浮かべた。
赤葦さんに申し訳無い気ばかりして、溜め息を吐く。
「りら、あまり乗り気じゃないなら、もう連絡して合流する?」
「合流はいいです。赤葦さんが行きたい場所があったら付き合います。」
みつに考えがあるなら、気が済むまでやらせてやりたい。
私に気を遣ってくれた提案には首を振って、他の案を挙げた。
「そう。それなら、一件だけ付き合って貰える?」
「勿論です。」
そうして、連れていかれたのはお洒落なカフェ。
赤葦さんは何かを探すように店内を見渡してから、唇の端を上げた。
「テラス席で良い?」
「構いま…良いんですか。」
別に寒すぎる季節ではないし、了解をしようとした言葉が止まる。
代わりに出したのは確認の言葉。
テラスの方を眺めている赤葦さんの視線の先には、私の元義弟。
まぁ、つまり、みつの元夫が女と一緒に居た。
これは、何か企んでるな。
結婚した時の二次会には、赤葦さんも出席してるんだから、顔を知らない筈がない。
確認は無意味に終わって、スマホを弄りながら移動する赤葦さんの後を追う。
男の背中側に赤葦さんが座ったから、私は必然的に女の顔が見える席へ。
その女と何故か目が合うと、わざとらしい笑みが浮かべられた。