第17章 彼氏トレード
‐木葉side‐
みつは、少し苦い顔をしながら話を始める。
まるで、自分の行いが悪かったと知っているかのようだった。
ある程度は、予想ついていた事だったが。
あの性格のりらが、親に我儘を言った事は殆ど無く。
ほぼ初めての我儘が、私立高校に行きたいってやつだった。
姉弟の多い、この家に金銭的な余裕が無かったが、珍しいりらの我儘を聞き入れる事にしたらしい。
ただ、母親も働きに出なきゃならなくなったようで、その分の家事は全てりらに任される事になった。
「お前は何もしなかったワケ?」
「今は、悪いと思ってるんだけどね。その時は、お母さんが姉ちゃんの為だけに仕事に出たのが許せなかったんだよ。」
つい、口を挟む。
その返事で、表情の意味が分かった。
「…そういう気持ちだったから、私も、他の姉弟も、姉ちゃん大嫌いでさ。お礼を言った事も、褒めた事も無かったんだよね。
毎日、3食作って、洗濯掃除して綺麗な家保ってくれてたのにさ。」
切り替えるように、話は続いて。
誰も手伝わない、誰も感謝もしてくれない。
寧ろ家事とか嫌いになっても仕方無いんじゃないかと、思った。
でも、今は好きで家の事を進んでやってる。
きっと、何かきっかけがあった筈だ。
それが、わざわざ交換条件として出してきた、料理を好きになった理由、だろう。
前置きは長かったが、やっと興味を引かれた情報に辿り着いた。