第17章 彼氏トレード
‐みつside‐
アキノリくんを連れて向かったのは自分の実家。
ここなら、ある程度の調理器具は揃ってるし、2人きりにはならないから。
私と一緒にアキノリくんが居たから、家族には驚かれたけど。
経緯を説明すると、台所を使わせて貰える事になった。
「あ、先にこっちの情報だそうか?交換条件なんだし。」
「別に、どっちが先でも良いが。お前、なんで毎回先出ししようとすんの?前の、旅館で話した時もそうだったよな?それって損じゃね?」
アキノリくんが言いたい事は分かる。
確かに、情報を交換するなら、後出しで勿体振った方が多くの情報を得やすい。
だけど、これは私の策の内である。
本当に得たい情報があるなら、先出しの方が確実性が上がる。
こっちが先に言えば、交換としている限りは、後から無かった事にはしづらいからだ。
それに、勿体振った場合は相手も訝しんで、わざと情報を隠される事もある。
まぁ、裏でこんな事を考えた上での先出しなんて、絶対に信用されないから言わない。
「どうせ話す気なら、先でも後でも変わらないからかな。どうする?先に聞く?」
誤魔化すように嘘を吐いて、判断は委ねた。
「別にどっちでも良いぞ。聞けないからって、ここまで来てナシなんて言う勇気ねぇよ。りらの両親から嫌われたら困んの、こっちだからな。」
迷わずに返った答え。
考えてみれば、私と行動してる理由を親に話した後に、やっぱり止めたなんて、アキノリくんの立場が悪くなる。
無意識に、卑怯な手を使っていたと気付いて、反省の意味も込めて先に話す事にした。