第4章 お泊まり
他にも、歯ブラシだとか、タオルだとか。
私専用って物を用意されていて。
最初から、泊まりに来る予定だったから自分で持ってきた物もあったけど。
必要だったのは、下着だけである。
しかも、それでさえも、今度この家に置いておく用を買いに行こう、って。
完全に、ここを私の居場所にしたいようだ。
有難い反面、私にはあの家を出たくない事情があって。
本当に一緒に暮らすとか、出来ないのが申し訳ない。
私の居場所は、きとりちゃんが帰るまで、あの家だ。
「風呂、入るだろ?」
「…お借りして宜しいですか。」
「泊まり来んの分かってて使うなって言うワケねぇだろ?」
1人で悪い気ばかりして、落ち込みそうだったのを止めたのは、木葉さんの声。
何でもない事を話しただけなのに、聞いているだけで落ち着く。
「あ、一緒に入るか?ウチの風呂、狭いから密着する事になるけどー。こーんな風に。」
からかうような事を言いながら、腹に回っていた手に力が込もって強く抱き締められた。
風呂なら、裸だろ。
その状態で、この体勢は色々と危険なのではないか。
我慢出来る自信、あるんだろうか。
「…やっぱ無理。俺が無理。理性が飛ぶ。」
腕が緩んで、少しだけ腰を引いている。
「反応しましたか。」
「うっせ!お前が可愛すぎんのが悪い!」
強く言い返されたけど、照れ隠しだろうから気にしない事にした。