第4章 お泊まり
木葉さんが、脱力して凭れ掛かってきている。
昨日、今日の2日間で色々あったし、疲れているんだろうな。
「そろそろ、寝ますか。」
肩に乗っている、心地好い重みの元を撫でる。
「おぅ。…と、その前に。」
あっさりと、私の肩から離れて思い出したように部屋の隅に置かれた紙袋を指差した。
「アレも、お前にプレゼント。」
「あまり、物を頂くのは好きでは無いです。」
合鍵だけで、本当に嬉しかった。
他に、物を貰うのは気が引ける。
「ダーメ。受け取って。つか、返されても俺が使えるモンじゃねぇし。」
受け取り拒否を拒否されて、仕方無く紙袋を引き寄せた。
中を覗くと、ピンク色のTシャツとハーフ丈のパンツがセットになっている部屋着が入っている。
「良かったら、ウチで使ってくんね?」
私が、ここに来ていい証が増えるのは嬉しいけど。
この色、私には似合わないぞ。
女は、ピンクが好きだと決め付けられても困る。
「うわ。超嫌そう。」
「分かりますか。」
「まぁ、な。お前、モノトーン系の色しか着ねぇの知ってるし。」
知ってるなら、何故この色をチョイスした。
「服って、意外に精神的なもんに影響すんだってさ。制服着たら仕事モードになる、とか、そんなん。…で、色も影響すんだと。
部屋着のプレゼントは、俺の傍で寛いで欲しいって事。色が、ピンクなのは、女らしい色のもん着たら、甘えてくれるかなー…って、俺の願望デス、はい。」
意味が分からないでいる私に、説明が入る。
単にピンクを着せたいだけなら断るけど、そういう理由なら受け取る事にした。