第16章 複雑に絡む
‐りんside‐
鉄朗が、私との関係を最後まで話していた頃。
私は私で、月島くんに鉄朗との関係を話していた。
どうして、こうなったか。
送って貰ったは良いものの。
電車は終わっていた時間で、タクシーとか使わせるのも勿体無いし。
月島くんが、どちらかというと私を苦手としているのは分かっているから、手を出されないし。
さっきの様子だと、鉄朗の帰宅も朝方だろうから、勘繰られる心配もない。
色々と理由付けをして、月島くんを強引に家に引っ張り込んだ。
そして、通したリビングで、例の写真が見付かって。
「そういう関係だったんですね。」
弱味を握ったとばかりの、満面の笑みを浮かべていた。
隠そうとしたりすると、嫌味っぽい事を言われそうだから、自分から全て話しただけなんだけど。
「協力、してあげましょうか?」
「…なんの?」
「こんなの、飾ってるくらいなんだから、未練あるんデショ。」
勘違いされてしまったみたいだ。
これは、私が一番輝いていた時代の写真。
それなりに人付き合いして、友人とか、まだ沢山居た頃の思い出。
それを飾る事すら、月島くんに疑われる原因になるなら。
「未練なんか、ない。」
はっきりと宣言して、ボードから写真を外す。
現在想いを寄せている相手に、過去の恋愛に未練を残しているなんて、思われたくはない。
酔っている勢いも手伝って、写真の中に居る自分と鉄朗を引き裂くように、それを破いた。