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【HQ】繋がる縁の円

第16章 複雑に絡む


黒尾さんの話によると。

そうやって、りんさんの望みを叶えようとしていたのに、彼女はまた黒尾さんに選択を迫ったらしい。
自分が一番じゃないと知りながら、黒尾さんが卒業したら結婚してくれ、と。
私を選んでくれ、と。

黒尾さんは、断ったようだけど、その時のりんさんは強引だったみたいだ。

30歳の約束を逆手にとって、その条件であるお互いに恋人がいなかったらって部分を強調して。
恋人どころか、妻がいたらきとりちゃんも諦めがつくんじゃないか、と言ってきたらしい。

でも、黒尾さん自身が、本当はきとりちゃんに対しての諦めがついてなくて。
それを、りんさんは知っていて、別れる為にそんな事を言っていた。

「そん時の話の最後に、な。
‘お互いに必要と思える人間に出会うのって、案外少ない。私にとって、鉄朗は必要な人間だけど、今の鉄朗にとって、私はただの負担だ。’
って、言われたんだよ。
俺は、何も言い返せなかった。」

それで、2人は別れる話になったけど。
りんさんにとって、黒尾さんは必要な人間だからって理由で、何年か前までは、たまに連絡を取り合っていたらしい。
それが、途切れたから、もう黒尾さんを必要としなくなったと悟って、友人関係も自然消滅した。

それなりに長かったこの話は、周りに居た面々にも当たり前のように聞かれていて。

その話をネタに、その後の飲み会は大いに盛り上がる。

質問攻めされる黒尾さんは可哀想だけど、周りには話さず隠し続けたきとりちゃんとの関係を口に出したからなのか、すっきりした顔をしていた。
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