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【HQ】繋がる縁の円

第16章 複雑に絡む


‐りんside‐

りらは、理解力に乏しい。
確かに、恋人だったとか、直接的な言葉は言わなかったけど、話の中心として鉄朗を置いてたんだから気付きなさいよ。
まぁ、それは無理なんだと思う事にして、話を戻す事にした。



私は、その約束の話を聞いた時、初めて鉄朗を否定した。
それでも、鉄朗は気にした様子は無く。
いや、分かっていたとでも言うかのように…。

「…そうだよな。」

って、一言。

今まで、2人の関係を肯定してきた私からの否定の言葉は、彼に響いたのも分かってた。
結局、私が熊野きとりから黒尾鉄朗を離してしまう引き金になったのだと、後悔が頭を過った時の事だった。

「りんサン、俺と付き合って。」

そこまでの話と、全く関係のない言葉が飛んできた。
意味が分からなくて、相当嫌な顔をしたと思う。

「俺な、センパイを縛るつもり、ねぇんだ。だから、普通に彼女作ったり、してた。あの人も、気兼ねなく他の男、好きになれるように。
だけどな、やっぱ元カノを大切にしたい俺を理解してくれる女は中々居ねぇんだよ。」

それでも、話は続けられて。

「りんサンは、多分俺より会った事もねぇセンパイを心配して、そんな事言うんだろ?
俺の大事なもの、一緒に大事にしてくれる女が、俺には必要なんだ。」

最後まで聞いた時には、私の気持ちは決まっていた。

お互いに、好きとか、愛してるって気持ちには程遠い。
だけど、同じ人を護りたいって気持ちがあった。

「いいよ、付き合っても。1つ、言う事聞いてくれるなら。」
「何だよ?」
「私を、彼女を理由に、熊野きとりを独りにしないで。」
「おぅ。」

だから、付けた条件。
鉄朗は即答で了解を返してくれて、私達のお付き合いは始まった。
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