第16章 複雑に絡む
‐りんside‐
キリの良いところまで調理をして、変な部分は無かったか聞いてみようと後ろを見ると、りらが居なくなっていた。
何と無く、真面目なコだろうっていうのは分かっていたから、声も掛けずに人の家をうろつくとは思えない。
可能性があるとすれば、みつの呼び出しかな。
そっちに気を取られて、声掛けを忘れたんだろう。
りらは、ちょっと、いや、かなり変なコだし、視野が狭そうだから、同時にいくつもの物事を考えられないんだ。
それなら、リビングに居る筈。
何をしているのか分からないけど、良い事である気が全くしない。
悪戯でも仕掛けているなら、静かに近付いて叱ってやろう。
私が来たのが分かって、悪戯を隠されでもしたら迷惑だから。
ゆっくりと、足音を立てないように気を付けてリビングに入る。
思った通り、2人は小さめの声で何かを話していた。
真後ろまで近付いても気付かないのは、相当真剣に何かを企んでいるのだと思ったけど。
聞こえてきたのは、りらの性格のマイナス面をつらつらと上げた言葉だった。
何で、そんな話をしているのか疑問が浮かんだ時、りらが振り返って。
「…あ。」
「あ、じゃないよ。何?その写真、気になるものでも写ってた?」
驚いているとは思えない1つの音が零れる。
さっきの話からすると、私に質問でもありそうな感じだったから、それを促そうとコルクボードを顎で示した。