第16章 複雑に絡む
リビングで、見せるように指し示されたのはコルクボード。
何枚もの写真が貼ってある。
何も、不思議なものなんかない。
そう思ったけど、パーティーだか何かの、集合写真を見付けた時、分かってしまった。
みつが、何を言いたいのか。
彼女の隣に写っている人は、私達がよく知った人だ。
2人から少し離れた場所にも、知っている人が写っている。
「…他人の空似、じゃないよね。」
「本人でしょ。」
「姉ちゃん、驚かないの?」
「これでも、驚いてる。」
「顔、変わってないけど。」
無表情なのは、元からだ。
分かっている事を今更言われても困る。
それに、今は私の反応どうこうを話している場合ではない。
彼女と、その人の関係を想像する事しか出来ないけど、知りたい気持ちはあった。
でも、上手く聞き出せる自信はない。
「知らないフリ、する?」
「私に聞かないで。」
「姉ちゃんと意見合わせておかないと、いきなり質問したりするから、ヒヤヒヤするし。言いたい事、言えるようになってきたのは良いけど、素直すぎだよ?
もうちょっとオブラートに包むというか…。間接的な聞き方あるのに、直球しか出来ないし。しかも、大体が暴投で相手が受け止めきれない。」
会話が本題から逸れ、貶されているような気がして、苛々してきた。
だけど、このコに言い返すなんて不毛な事はしない。
彼女と、一緒に写っているその人達の関係を今考えていても、仕方がないからキッチンに戻ろうと振り返った。