第4章 お泊まり
密着すると心臓が大変な事になりそうで、寄り掛からないように体育座りの状態になっている。
膝を抱えて隙間を無くしていたお腹の部分に、無理矢理捩じ込まれた手。
「その体勢、キツいっしょ。」
引き寄せられて、半ば倒れるように木葉さんの体に寄り掛かる。
「…昨日、さ。」
肩に顎を乗せてきて、耳元で話を始めた木葉さん。
くすぐったいけど、何かを言って話を止めたくないから黙った。
「アイツ等…。あ、木兎と赤葦な?お前ン家に入った時、タダイマ、って言ったろ?…んで、お前は、オカエリナサイ、って。」
確かに、そういうやり取りをした覚えはある。
だって、元同居人の2人からしたら、あの家に‘お邪魔します’は変だと思うから。
「タダイマって、帰るべき場所に帰ってきた時の言葉じゃね?俺の、この家もお前の帰るべき場所にしたいんだよ。
んで、その場所にいる、家族になりたいと…思って、マス。」
言葉の最後の方になるにつれて、小さくなっていく声。
それでも、耳元で言われているんだから聞こえていない訳はない。
家族になりたい。
だから、すでに家族のような関係である2人が羨ましい。
ちゃんと、説明を受けて物凄く納得出来た。