第15章 お弁当
‐木葉side‐
昨日の話。
りらが、弁当の仕込みだのの事を考え始めたから、早々に店からは出て、アイツん家で飲み直した。
りら本人は、キッチンに籠って弁当作りに励んでて、何故かくっついてきたバカップルと話した内容は…。
月島と、あのお姉サンをどうにかしちゃおうかって話で。
恋愛は自由だから、放っておけとは言ったんだが、譲ってはくれなかった。
その理由が、りら達の元同居人との絆を護る為なんて言われたら断れず。
赤葦達の立てた作戦にノる事になっちまった。
その作戦は、職場の近い俺が、やたらお姉サンに絡みまくって、嫉妬させようってもの。
赤葦カップルの、馴れ初め的なやつに倣っているらしい。
「それ、月島が、そもそも興味を持ってなかったら意味ねぇだろ。」
フリでも浮気未遂みたいな事をすんのは嫌で、言い訳しても…。
「木葉さんが絡むのは効果ありますよ。初めは、りらがいるのにって別の苛立ちでも、感情を動かせるでしょう?」
「それで、そのイライラは、彼女の事を好きだからって勘違いさせて、ハマらせようかと。」
俺に絡ませるのは、決定事項になっていた。
「…お前等、怖ェぞ。」
「異常なのは自覚済みです。」
「同じく。」
最後の抵抗をしようにも、仕事上がりの疲れた体、アルコールに弱い頭。
そんな状態で言えたのはこれくらいだった。
まぁ、特に赤葦の方だが、勝算のねぇ事をやる人間じゃない。
本日は夕方から深夜のシフトだったから、運が良ければ帰宅途中のお姉サンに会える可能性はあった訳で。
サクッと電話番号なり聞いて、ランチ勤務の時とか、うちの店でどうですか的な、営業兼ナンパをしてやろうと思ってた。
連絡先の交換は、他でもない月島に阻止をされた訳だが。
上手く苛立ってくれたし、一緒に行動させる事も出来たから、いいだろ。
一応の報告メッセージを赤葦宛に送り、職場へと向かった。