第15章 お弁当
‐月島side‐
含んだ言い方じゃ、りらは理解してくれないだろうから。
昨日、はっきり断った筈だよね。
なのに、今日も何故か会社の最寄り駅にりらが居た。
手に持っているのは、これからピクニックにでも行くのか、みたいな大荷物。
素通りしようと思ったけど、そんな嫌味が通用する相手じゃない。
諦めの息を吐いて、りらに近付いた。
「君、さ。昨日、ちゃんと断ったよね?あそこまで言っても理解出来なかったワケ?」
「分かってる。だから、月島くんには会いに来てない。」
本当は、少しだけ期待してた。
あんな言い方したって、世話焼きのりらが僕だけの為に何かしてくれる事。
その淡い期待は、あっさりと外れの答えを出している。
考えてみたら、りらの彼氏だって職場が近くて。
夜勤明けか何かで、待ち合わせしてるんじゃないかって予想を立てるのは簡単で。
「…あ、そう。じゃ、僕はこれから仕事だから。」
「いってらっしゃい。仕事、頑張って。」
2人が会う所なんか見たくも無かったから、その場から離れた。
予想の方も外れていた事に気付くのは、お昼休みの事。
りらが持っていた、ピクニックにでも行きそうなくらいの大荷物を、自分の同僚が持っていたからだった。