第15章 お弁当
ただ、その溜め息の後に続いたのは無言の時間で。
やはり、普通じゃない私の出す答えは変だったようだ。
どうして、あんな自意識過剰もいいところな発言をしてしまったんだろう。
まぁ、それは、そう思い込んでしまったのだから、仕方がないとして。
この沈黙の空間をどうすればいいか、分からなかった。
一緒になって、黙っておく事、数分。
後ろから肩を叩かれて、振り返ると秋紀が立っている。
「もうちょいで上がれるけど、どうする?まだ飲むなら混ざるし、帰るなら会計しとくか?」
「…皆さん、どうしますか。」
質問をされたけど、独断で決められるものじゃないから、周りに話を振った。
「私は明日も何もないから平気だけど、京治は仕事あるよね?」
「俺は大丈夫だから、お前が残りたいなら残るよ。」
「うん、じゃあ残る。姉ちゃん、このまま放置したら分からないからって、ツッキーくんに直接聞きに行きそうだし。」
「その不安は俺もある。」
何か失礼な事を言われている気がするけど、赤葦さん達は残るようだ。
女性の方はどうするのか分からないから、視線で問い掛ける。
「帰る。お金、置いてくわね。」
すぐに答えて、立ち上がったその人が財布を漁っていた。
「多いです。誘ったの、こちらですから、いいです。」
「そういう訳には行かないの。私、多分だけどアンタ達より年上。これくらい出させて。」
割り勘にするには、明らかに桁の違う札を出されて、すぐに返そうとしたけど受け取ってはくれない。
「仕事関係の上司とかなら分かりますが、利害関係のない方に奢られる理由はありません。」
年齢なんか関係がない。
受け取らない意思をしっかり示すと、考え込むように黙ってしまった。