第15章 お弁当
伝えずに終わらせるって考え方には賛同出来ない。
月島くんは、独身だし、彼女も居ないし、好きな人の話だって聞かないし。
何の、障害もないのに言わない意味が分からない。
「なんで、伝える気がないんですか。」
だから、理由を聞いたのに、女性は驚いたように目を瞬かせ、口を半開きにしてしまった。
「…姉ちゃん、鈍感にも程がある。」
「まさかとは思っていたけど、本当に気付いてない?」
妹と赤葦さんから、呆れた声を掛けられたけど何に気付いていないかも分からない。
「…月島、俺に対しての敵対心ハンパねぇぞ。」
考え込んでいると、後ろからヒントになるような声が落ちてきた。
その主は、たまたま通り掛かったんだろう秋紀で。
やっぱり、呆れた顔をしている。
どういう事かを聞く前に、仕事に戻ってしまって、答えを知り逃した。
多分、他の人に聞いても教えてはくれない。
それなら、自分で考える。
月島くんに伝える伝えない、の話から、私が鈍感だとか気付いてないって話になる。
更に、月島くんは秋紀に敵対心を持っている。
なんとなく、分かってきた気がするけれど、普通じゃない私の導き出した答えが、果たして正解なんだろうか。
「…月島くん、私の事を恋愛対象にしてたんですか。」
確認の為に声を出す。
周りの3人は、揃って溜め息を吐き出した。