第15章 お弁当
‐りんside‐
顔が熱いから、表情で肯定してしまったのは分かっている。
でも、私の中では言わずに蓋をしておくと決めていた気持ちで。
首を振って拒否を示した。
「要らないなら、無理にとは言わないけど。オトせる自信あるの?」
「…伝える気がないから。」
「伝えずに諦めるつもりなら、何でツッキーくんと姉ちゃん達の関係気にするの?無関心になった方が、楽じゃない?」
無遠慮に吐き出されていく言葉が胸に刺さった。
そんなの、自分が一番分かってる。
関心が向いてしまうのは、諦めきれない気持ちの表れだ。
「…それと、これとは別よ。あんな言い方されたら、誰だって気になるんじゃないかしら?」
分かっていても、素直に認める事は出来なくて誤魔化した。
「確かにね。じゃ、そちらの聞きたい事をどうぞ?お姉さん、興味に勝てないタイプでしょ。姉ちゃんなら、あっさり答えるよ。」
納得してくれたのか、恋話については終息を迎え、話の主導権が移ってくる。
どう質問したら、的を射た回答が貰えるかは分からないけど、思ったまま一緒に暮らしていた理由だとかを聞いてみた。
それで答えてくれた話によると、同棲じゃなくてハウスシェアをしていたって事らしい。
妹の彼氏も、同じくシェアメイトだっただけ。
「月島くん、学校遠かったのに、何故あの家に居たんでしょうか。」
「俺が勧めたんだよ。学生の一人暮らしって、やれる事にも限界があるから、フォローしあえる関係の人間が居た方が良いと思って。」
本当に、驚くくらいあっさり答えは返ってくる。
本人が分かっていない所は、補完してくれる人が居たから、この人達の関係は納得出来た。
元シェアメイトを一括りにしておくと、一緒に暮らしてなかった人間は異物である。
「うん、よく分かった。有難う。なんか、ごめんね。変な事聞いたかも。」
「いえ、別に。…私からも質問良いですか。」
こちらとしては、気になっていた事は解決したから帰ろうと思ったけど、引き止められてしまった。