第15章 お弁当
‐りんside‐
言われた通り、この姉の方は普通じゃないらしい。
男と暮らしてた…同棲経験の話なんて、聞いてもいないのにしないでしょ。
あれ?
でも、言い方は悪いけど、異物が妹の方ならば、その彼氏は異物じゃない?
どういう事だ?
自分で考える容量を軽くオーバーした。
口が軽いと言うか、何を言ってはいけないか分かってないらしい姉の方なら答えてくれそうな気がする。
気になるなら、聞いてしまえ。
「…ちょっと、お姉さんの方。」
「りらと申します。」
「じゃあ、りらさん。」
「りらでいいです。」
質問をしようとした矢先から、この反応は天然なんだろうか。
それとも、何か聞かれるのを分かって故意にやってるんだろうか。
今までの情報によると、前者である気しかしない。
少し、苛々する。
「…うん、呼び方はそうするから、話を横道に逸らさないでくれるかな?」
口調を強めて本題に戻そうとしたけど。
「何か聞くなら、立ち話もナンだし、ご飯でも一緒に行かない?」
質問を口に出す前に、妹の方に遮られ。
「あ、ツッキーくんは帰るよね?テツローくんが、五月蝿いでしょ?」
「帰っていいなら、帰るよ。僕、好きでここに居た訳じゃないから。」
その上で、月島くんを追い払おうとしている。
唯一の知り合いが居なくなるのは嫌で、視線を向けてみると意図が通じたのか笑ってくれた。
「お疲れ様でーす。」
でも、その口から出たのは帰宅を示していて、本当に駅の方に行ってしまう。
取り残された私は、何故か今さっき知り合ったばかりの人達に居酒屋へと連行された。