第15章 お弁当
‐りんside‐
何なの、このコ。
ちょっと、おかしいんじゃない?
「…すみません。りらは、あまり‘普通’が分かってないんです。」
「変な事をした覚えがないですが。赤葦さんの言う、普通ってなんですか。」
「それを分かってないトコが変なんだよ、姉ちゃん。大人の女が泣くって相当な事なんだよ?その理由を、今日会ったばかりの姉ちゃんにペラペラ話す訳ないでしょ。」
呆気に取られていると、話に割り込んできたカップル。
話からすると、妹とその彼氏の筈なんだけど、何か違和感がある。
その正体は、すぐに分かった。
何故か、この彼氏は彼女である妹を名前で呼ばないのに、その姉を呼び捨てにしている。
まるで、姉との方が親しいように見える。
元々、姉の友人だったのが妹と付き合ってる感じなのか、とも思ったけど。
姉の方は、敬称と敬語で軽く壁を作っている気がするし。
「いや、なんか、もう…。アンタ達の関係全部が何か変でしょ。」
考えても、この人達の関係性を理解出来る気がしなくて、それが声に出てしまう。
本人達が、その関係で納得しているんだろうに、変って失礼な言葉だ。
「知ってる。多分、普通じゃないよ、私達の関係は。付き合ってんの、私と京治だけど、異物は私だもの。」
慌てて口を塞いだけど、そんなものは気にしていない様子で妹の方が答えてくれる。
「この中で、異物じゃないのはツッキーくんの方かな。」
そして、人の呼び名のような言葉を吐きながら、誰かを示すように視線を動かしていた。