第15章 お弁当
‐月島side‐
本当に面倒な展開で。
さっさと、帰ってしまいたかったけど、未だに足元に座り込んでるこのヒトと知り合い宣言してるから、それは出来ずりらとのやり取りを見ていた。
「これ以上、目立ちたくない。立って。」
中々立ち上がらないから、いい加減りらが苛々したのか笑顔が作られている。
そろそろ何とかしないと、その不機嫌の余波を受けるの、間違いなく僕だよね。
「…あ、部長だ。」
「え!?」
明後日の方向を向き、会社の人間が通り掛かった風を装う。
流石に、他の知り合いにまで見られたくないのか、立ち上がってはくれた。
「もしかして、今の、見られたり…。」
僕の見ていた方向に顔を向けて、必死になっている様子に加虐心をそそられる。
「さぁ?僕は、目が合った気がしましたケド?」
「え!?本当に?明日から会社、どんな顔して行けば…。」
わざとらしい笑顔を浮かべて、意地悪い言葉を吐き出すと、すっかりパニックを起こしていた。
予想以上に反応が面白くて、もうちょっと、からかってみたかったけど。
「…もう、ヤだぁ…。」
不都合な事に泣かれてしまって、りらのみならず、イチャついてた2人からも嫌な視線が送られてきた。